コラム(その他・民法改正)

契約のルールを定める債権関係規定(債権法)が大きく変わる民法の改正法が平成29年5月26日に国会で成立しました。
旧法の第399条から第696条までの300箇条に近い条文の半分以上に手が加えられ、新設された条文も多数あります。

我が国の民法は、明治29年(1896年)に制定され、以降、債権法については全般的な改正が行われてきませんでした。今回の改正は、約120年ぶりの大改正になります。明治29年!江戸時代が終わって、30年経っていません。どんな生活ぶりだったか想像するのが難しいほど遙か昔のことと思います。私たちが従っている民法は、そんな時代に作られたものだったのです。
明治時代から現代まで、人々の暮らしはもちろん、大きく変わりました。その間、法の想定を超えることが起こる度、裁判所は、判例を事実上のルールとして運用し、膨大な裁判例が蓄積されてきました。今回の改正は、こうして蓄積された事実上のルールを条文化することにより、民法を国民一般にわかりやすいものにするという基本理念に基づいています。そのため、多くの点が改正されたとはいえ、即座に実務に影響が出るものばかりではありません。

しかし、今回の改正のなかには、旧法の内容を大きく変えた規定も含まれています。
例えば、

  • ばらばらだった時効の期間が、原則5年に統一されました。
  • 法定利率が年5%から3%に下がり、今後は市場の金利に合わせて変動制になります。
  • 知らずに連帯保証人なってしまったという事態を防ぐため、一部、連帯保証人になるための条件が新設されました。
  • 定型約款に関するルールが新設されました。
  • 欠陥商品を購入した場合に、修理や交換、値引きの請求ができる制度が作られました。

これら新設された制度の特徴は、消費者保護の視点が盛り込まれたことだと言われています。
民法を国民にわかりやすいものにし、内容を社会の実状に合わせるとともに、一般市民を保護するという観点から、十分に評価のできる改正だと思います。

改正民法は、公布の日(平成29年6月2日)から起算して3年を超えない範囲内において施行することとされており、平成32年(2020年)前半からの施行が予定されているようです。
当事務所でも、それまでに折に触れ、所内で勉強会を行うなどして、新法の理解を深め、適切なアドバイスができるよう準備しておかなければいけないと思っています。

(弁護士 伊藤康典)