コラム(賃料滞納による賃貸借契約の解除)

今回は、賃料滞納についてのお話です。

ご存知の方も多いかもしれませんが、裁判所の実務では、賃借人が賃料滞納を1回しただけで、すぐに契約解除が認められるということは、ほとんどありません。
賃料を支払うことは、賃借人として最も重要な義務ですから、1回でも賃料を滞納するようないい加減な人には、契約解除が認められてよいと考えるオーナーの方も多いかと思います。
しかしながら、一方で、やむにやまれぬ事情で、どうしても1か月分だけ賃料を滞納してしまったものの、次の月にきっちり全額払うという、良心的な賃借人も中にはいるはずです。
そのようなことも考慮すると、1か月分の滞納だけで、直ちに生活の本拠である家を奪うというのは、酷に過ぎるように思われ、そのような理由から、このような取扱いがされています。

それでは、何回くらい賃料の滞納があれば契約の解除が認められるかというと、「信頼関係が破壊」されるほどの賃料滞納があることが必要とされています。
実務的には、3か月分の滞納が一応の目安とされていますが、賃料滞納のほかにも信頼関係を破壊するような事情があれば、そのことも考慮されますから、必ずしも、一概にはいえません。

ところで、最近は、入居時に保証会社との契約をさせているケースも多いですよね。保証会社との契約があれば、賃借人が賃料を滞納しても、賃貸人としては、保証会社からしばらくは賃料相当額を受け取れるはずですから、実質的には、滞納がないのと同じ状況ともいえます。
そのため、このような場合には実質的に滞納がないのと同じであり、契約解除が認められないという見解があり、この点が最高裁判所で真っ向から争いとなりました。これに対し、最高裁判所は、結論として、契約解除を認めました(最高裁判所平成26年6月26日決定)。
その理由を要約すると、保証会社による保証債務の履行と本来の賃料支払義務の履行は別物である、ということを最高裁判所は言っているのですが、実質的には、そのような不誠実な賃借人を保護する必要はないという点が、やはり、考慮されたのではないかと思われます。

当事務所では、賃貸借に関する問題についても力を入れて取り扱っておりますので、お気軽に、ご相談ください。

(弁護士 市野裕明)